導入までの背景と、研修へのこだわり
「7つの習慣®」研修を実施し続けている背景を教えてください。
工藤様:
当社が「7つの習慣®」研修を導入したのは15年ほど前です。ジェイックにお願いするようになったのは途中からですが、「7つの習慣® 」は当社にとって欠かせない研修の一つとなっています。
導入の経緯を振り返ると、「環境の変化に対応していくことが大事で、社員自らが主体的に動けるようになって欲しい」という会社の考えがあります。「7つの習慣® 」研修を通じて、社員一人一人にパラダイム転換を起こし、主体性を引き出し、環境変化に対応できる体制づくりを目指してきました。会社と社員が共に変化していくという意識を大切にしながら、現在も「7つの習慣®」の浸透と実践に取り組み続けています。
また弊社では2021年から第11次長期経営計画を進めており、個人のパーパスと会社のパーパスを重ね合わせながら、社員一人一人の能力と自分らしさの発揮を促し、仕事における幸福度を高めることを目指しています。
社員がビジネスパーソンとしてだけでなく人としても成長していくことで、チームの生産性や信頼性が向上する。その総和として、会社も成長していく。「7つの習慣®」は、そうした一連のプロセスの土台です。
研修実施において、拘っているポイントを教えてください。
鵜殿様:
「7つの習慣®」研修は、主任に昇格するメンバーが参加対象で、ステージが上がることに伴って求められる意識の変化や業務の変化に適応していくきっかけ作りです。
工藤様:
主任昇格者は、概ね入社4~5年目の社員が多く、社会人生活で最初の転機を迎えるタイミングです。成果も出始めて自信がついてくる一方、ステージが変わることで仕事のやり方を変えなくてはならず、壁にぶつかりやすい時期です。
ステージが上がった時こそ、これまでの成果を上げたやり方を大切にしながらも、考え方のパラダイムシフトも必要になってきます。ステージが上がると自分の事だけではなく、チームを考えた仕事に取り組む機会が増え、周囲のメンバーとの関係性も変わっていきます。より多くの方と関わり、難易度の高い目標を達成するためには、「主体的である」「パラダイムシフト」「Win-Winを考える」といった「7つの習慣®」の考え方が、その後の成長と更なる実績を積み上げていくカギとなります。
昇格はご褒美ではなく、次の役割・ミッションが与えられたスタート地点です。スタートをスムーズに切ってもらうために、「7つの習慣の」研修はとても重要な位置づけです。

研修内容が社内の共通言語に
受講者の反応はいかがですか?
鵜殿様:
受講者たちが、納得感をもって受講していることがわかります。研修の内容は難しいことではなく、ある意味では当たり前のことですが、「気づいていなかったこと」や「忘れかけていたこと」などを振り返るきっかけになっているようです。
例えば、ある受講者はこれまで自分自身の成長にフォーカスして頑張ってきたところから、先輩や同僚など他者を意識するような言動がみられるようになりました。一人で仕事を進めるのではなく、周囲と共有しながら業務を進める意識が芽生えてきたようです。
工藤様:
年次が経ってから研修で学んだことが徐々に身につくこともあります。通常の研修は自分が受けて終わりですが、「7つの習慣®」研修は社内昇格者が毎年受け続けているものなので、自分の後に受講した社員の話を聞いて、改めて大切さを再認識できるのです。
毎年新しいメンバーが「7つの習慣®」研修を受けることで、社内に共通言語が生まれ、学びが反復されています。その積み重ねによって、社内の文化が醸成されてきたことも肌で感じます。
当社の業務では、メーカーと小売業の間に入り、取引先のニーズを汲み上げて調整することが求められます。その在り方は「7つの習慣®」の考え方と親和性が高く、職場での実践に繋がっています。
鵜殿様:
「7つの習慣®」の研修で、「パラダイムシフト」や「一時停止」といった考え方を学んでも、すぐには意識しづらいものです。研修を受けて自分の中に落とし込みながら、上司に報告したり業務で活用したりする中で、自分の言葉として自然と会話の中で「7つの習慣®」の単語が出るようになります。それはリーダーとしてメンバーを指導する場面でも、プラスの効果をもたらしていると思います。
講師について、印象に残っている点を教えてください。
工藤様:
私自身が素晴らしいと感じ、他の研修会社の講師に比べて群を抜いていると思っているのは、講義での「間」の取り方です。問いかけのタイミングなどが絶妙です。正しく理解してもらうために、受講者を退屈させず、どう関われば吸収しやすいかを考えていることが分かります。毎年、複数回実施している中でもその回毎の受講者に合わせて、言葉尻や言い回しを毎回変えるアプローチなどが一流だと感じます。学ぶ場の空気の作り方は、我々も参考にさせて頂いています。
鵜殿様:
研修が始まる前に出席確認をしているのですが、その段階から受講者の表情をよく観察されています。最初に発言してもらう方を考えていたり、一人ひとりのキャラクターを見ていたりと、「そこも見られていたのですね!」と驚かされることが数多くあります。そうした姿勢から、研修は最初の一歩が肝心だと教えていただきました。
余談ですが、そんな講師から「受講者のグループ分けが素晴らしいです」とお誉めいただいたことは素直に嬉しかったですね。
工藤様:
研修準備の中でも、グループ分けに関しては考え抜いた上で決定しています。社員にとって研修は会社の指示で受けさせられるものである反面、主任として成果を出していくために必要不可欠な学びです。そうした中、一人ひとりの状況を見ながら、いかに研修の効果を高められるか、あらゆる手段を講じることが我々の役目です。
講師とは研修が終わった直後に、振り返りを実施しています。去年との比較なども踏まえて、アフターフォローに関しても的確な意見をもらえるのが有難いです。コンテンツの提供だけでなく、パートナーとしての立場からフィードバックをもらえて、非常に満足しています。
研修の学びを企業文化へと浸透していく
今後の人材育成について展望をお聞かせください。
工藤様:
社会は刻一刻と環境変化しており、求められるコミュニケーションも変化し続けています。手前味噌ながら、お取引先等から「国分社員のコミュニケーション能力は高い」と仰っていただけていますが、まだまだ伸びしろはあると考えています。
プレゼンや対人アピール等の発信スキルよりも、傾聴をベースとした人間関係の質を高める技術を強化する必要があります。特に管理職やグループ長などの上位層メンバーが現場で実践することを想定したトレーニングを取り入れていきたいと考えています。
人材育成で大切なことは何だと思われていますか?
鵜殿様:
まず大切なことは「継続」だと思います。短期的に教育の効果を捉えるのは難しく、長期的な目線で評価していくことが組織文化を醸成するために必要です。単発ではなく、いかに意志を持って持続させるかがポイントだと考えています。
工藤様:
「想いと覚悟」です。採用活動や社内教育の結果が見えてくるのは、5年後、10年後になります。成果に至るには活動を継続していかなければならず、覚悟が必要です。当社が創業から300年以上に渡って事業を存続できているのは、継続していく中で企業文化を醸成し、時代に合わせて変化・革新してきたからです。
国分では企業理念に「継続する心・革新する力」を掲げており、人材育成も企業理念に基づいて取り組んでいます。先人からの想いを受け取り、覚悟を含めて引き継いでいけば会社に文化ができ、組織が強くなります。5年後、10年後の成果を出すために、想いと覚悟を持って人材育成に取り組み続けたいと思います。