営┃業┃革┃新┃の┃急┃所┃
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◆第88号◆

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■■■■■■ 今回のテーマ ■■■■■■
 
営業マインドを持つ営業マンは率直になる

株式会社ジェイック http://www.jaic-g.com/
チーフコンサルタント 林丈司 hayashi@jaic-g.com
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新年最初の営業革新の急所です。
今年もよろしくお願いいたします。

ところで昨年末、知り合いの息子さん(中3)が、
郵便ポストに向かう道で年賀状を6枚失くしてしまいました。
何度も往復して探したもののどうしても見つからず、
仕方なく同じ宛名で6枚書き直し投函したそうです。

しかし彼の6人の友達のもとには、
それぞれ2枚ずつ年賀状が届いたとのこと。
そう、拾ってくれた誰かがわざわざ投函してくれたのでした。

凄惨な事件が多い昨今、
このくらいのいいことがあるだけで、心がなごみますね。


さて、今日のテーマは
「営業マインドを持つ営業マンは率直になる」
です。



■営業マインドとは


営業マインドってご存知ですよね?

よく勘違いされているようですが、
「売りこむ意欲」
「絶対数字をあげてやるぞ!という強い気持ち」
といったことではありません。
むしろこういう気持ちとは正反対に位置します。

正しい営業マインドとは、

    「お客様の役に立とうとする気持ち」

のことです。
そしてこの「お客様の役に立つ」ということには、
2種類あるように思えます。


■営業マインド1:商品やサービスを通じてのお役立ち

まず第一に、商品やサービスの価値を見つけ、お客様に教えてあげる、
という役の立ち方があると思います。

お客様は、商品やサービスを購入するときにお金を支払います。
しかしそのお金は、実は商品そのものではなく、
“お客様が得る価値”に対して支払われています。

例で説明しましょう。

私は最近引っ越したので、ひとりがけのソファを2脚買いました。
そのソファは、リクライニングすると足を支える台も立ち上がってきます。
ふかふかで手足をまっすぐ伸ばせるので、それはもう楽チンです。
私は家具屋であまりの楽チンさに目がくらみ、
20分間迷った末、思い切って購入に踏み切ったのでした。

そのときの私は、

  「新しい住まいのリビングで楽チンな姿勢で
   家族と並んでテレビを観たりくつろいだりしたい」


という私にとっての価値を購入したのでした。
お金は商品ではなく「価値」に対して支払われるので、
ソファ以外でこれと同等以上の価値を手に入れられるなら、
そちらを購入したはずです。

このケースでは、この価値に気づいたのは顧客である私自身ですが、
その価値を営業マンが見つけ出し、顧客に教えてあげれば、
その営業マンは顧客の役に立っていることになります。


※実はこのソファ、大きすぎてリビングに2脚並べてリクライニングでき
 ませんでした。家内にこっぴどく怒られたのはいうまでもありません。
 Yahooオークションに出されそうになったほどです(笑)。


■営業マインド2:営業マンが作り出す価値によるお役立ち

第二は、商品やサービス以外の部分で、
営業マンの努力により提供するお役立ちのことです。
言い換えれば、営業マン自身の関わりで価値を創出するということです。

また私の例で説明しましょう。

私が引っ越す前に住んでいた分譲マンションは売りに出しました。
売却に際してある不動産会社D社のI君という営業マンに任せたところ
運も良かったようで、希望金額であっという間に決まってしまいました。
彼はなかなか気が利くので、

 ▼折り込みチラシのチェック依頼
 ▼その反響状況
 ▼現地案内の結果
 ▼見込み客との交渉経緯
 ▼契約へ向けた段取り
 ▼引渡しや銀行への完済手続きに向け整えるべき私の手はず


といったことを、留守電と書面で逐一報告しアドバイスしてくれました。
前もって十分な時間を置いて連絡をくれたのであわてる必要もなく、
非常にわかりやすい説明だったので短気な私もイライラしなかったのです。

振り返ってみると、I君には安心して任せることができました。
彼は、5社の不動産会社の営業マンから私が選んだのですが、
その期待を裏切ることなく、I君は十分私の役に立ったのです。



■売り込み姿勢の人の特性

商談に同行したり、商談ロープレを数百回見てくると
どうにも気になって仕方ないケースがあります。
それは、「売るのに都合よく伝えよう」という姿勢が見えるときです。
買っていただくのではなく、「売る」です。

顧客:「ではこの新しい機器を使っても、
    現状のランニングコストはこの程度しか削減できないんだね?」
営業:「ええ・・・まぁそうですけど、(あまり根拠のない説明として)
    でも今までより使いやすくなりますし・・・」

こういう商談を何度目の当たりにしたでしょう。

こういうときの営業マンは、
「お客様の役に立つ」ということより、
「なんとか売り上げをあげること」ばかりを考えているのです。
その説明を聞いていると、
彼が自分のことしか考えていないということが伝わってきます。
お客様の役に立とうとせず、自分のために売りつけようとしているのです。

彼らは、説得力の高くない説明をしていることも、
自分の主張が不利なことにも気づいています。
だから目線は下を向きがちで、
自信のなさそうな表情になることが多いように思えます。

想像してみれば、こういう営業マンは、

  「お客様の役に立つということがお客様に喜ばれ、
   結果として営業成績もあがっていくものだ」


ということを知らないのでしょう。
知らないながらも「なんとか成績をあげよう」と
一生懸命なのかもしれません。

しかし、お客様に接する以上、
知らないということで大目に見られることではないし、
一生懸命なら一方的な売込みをしても良い、というわけでもありません。



■営業マインドを持っている人の特性

営業マインドを持っていれば、お客様に十分な価値を提供できるかどうか、
事前に調べたり、ヒアリング段階で判断するでしょう。
また、センサーが鋭くなり、相手の求めているものを知ろうとするでしょう。
だから無駄な(上記のような)押し売り的な商談も皆無になるので、
お客様との関係が悪くなることも無くなります。
後日ニーズが顕在化したときには、再度アプローチが可能にもなります。


営業マインドを持っている人は、
自分がお客様に提供するべき最大の価値を知っているので、
おもねることも、愛想笑いをすることも、
聞きにくい質問に躊躇することもなくなります。
だから総じて彼らは、

     きわめて率直な態度

でお客様に接しています。
たくさんの営業マンを見てきて、このことはまず間違いありません。
営業マインドがなく、売り込みの意識に染まっている営業組織は、
やがては顧客からそっぽを向かれることでしょう。

御社の営業マンは、率直な態度でお客様に接していますか?
それともご機嫌取りが目立つ態度ですか?


                                              了
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                                ・・・・・・・・・次回もお楽しみに
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発行:株式会社ジェイック   http://www.jaic-g.com/
バックナンバーはこちら   http://www.jaic-g.com/mailmagazine/index.html
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